池脇バンクの競輪コラム。今回は【競輪選手にも台所事情がある】という内容のコラムをお届けします。
「競輪選手はプロ。競走に出て賞金を稼いで、家族を養ってます。子供大学にも行かせます」
関西のベテラン選手を訪れ、以前に本音の部分を聞いたことがある。
好きなスポーツで身を立てることに、最初は夢を持つ。
だが、やがて自分の限界が分かってくる。
例えGⅠで活躍できなくても、S級1班になれなくても、自転車で稼ぐしかない。
「自分も新人の頃は、ピン・トリ・トリの成績でいた」と彼は笑った。
ピンは1のこと。
寄席から出た言葉トリは最後の意味だ。
初日予選は先行捲り1,2着。
2日目の準優はラインの先頭を委され、逃げ潰れ。
最終日の選抜は相手強く大敗。
①⑨⑨か、それに似た成績が続くのが若手。
力をつけ①①❶を取れたら申し分ないが、敵もまた多い。
中堅クラスの選手が拘るのは、ナカ日の準優を3着内にまとめ、決勝を走ること。
優勝できなくても、賞金の高い決勝で常時走ることができれば、収入が違う。
勝負が準優の権利どりで、決勝は結果だと思った時期があったと教えてくれた。
5開催も続けて決勝に乗れば、お腹いっぱいにになり、家族に生活費を十分渡せたという。
だが、若さは永くは続かない。
準優で位置を主張できなくなり、敗者選や最終日の一般戦など、トリ・トリ・ピンを狙うようになる。
選手は辛いよと感じるが「ぼくには、いい仕事でした」と彼は総括した。